
荒川水辺サポーターの皆様には、外来植物の防除対策にもご協力いただいております。
防除対象となる外来植物は、自然地に多くみられる「セイタカアワダチソウ」と「オオブタクサ」を中心に除去していただいております。
また、自然地で除去対象にしている特定外来植物は、「結実前のアレチウリ」のみに限定しています。
外来生物(植物)
セイタカアワダチソウ
〔別名:セイタカアキノキリンソウ 学名:Solidago altissima キク科 多年生草本〕

- 除去適期:4月~11月頃
- 開花期(秋/10~11月頃):黄色い花が目立ち、見分けやすいため作業しやすい
- 生長期(春~夏):地上部が大きく生長する7月頃までに抜き取ることが効果的であるが、目立つ特徴がないため見分けにくい一面がある
- 除去方法:できるだけ地下部が残らないよう抜き取るのが効果的
在来種や在来生態系への影響 | 他の植物の生育を阻害する |
セイタカアワダチソウは多年草で、刈り取った場合、翌年も地中の地下茎から成長します。したがって、できるだけ地下部が残らないよう抜き取るのが効果的です。
いつ抜き取っても効果はありますが、特に花の咲く秋季(10月頃)に実施すると、セイタカアワダチソウの花が目立って、ほかの植物と見分けやすいため、作業しやすいでしょう。
地下部に栄養を蓄えているこの時期の抜き取りは、効果の面からみてもよい対策といえます。
特徴
- 北アメリカ原産
- 河原や市街の空き地などでよくみられる
- 河川では水に浸かりにくい高水敷に生育する
- タネで増えるほか、地下茎を伸ばして分布を広げる。

葉や茎には短い毛があり、触るとザラザラする。(花をつける前は、希少種のタコノアシに似るが、タコノアシは湿地に生育し、葉や茎に毛はない。)
.jpg)
花が特徴的で、黄色の小花が円錐形につく
.jpg)
草丈は高く、2~3mに生長する
.jpg)
果実には毛があり、風で広がる
.jpg)
.jpg)
オオブタクサ
〔別名:クワモドキ 学名:Ambrosia trifida キク科 一年生草本〕
.jpg)
- 除去適期:4月下旬~7月頃
- 花粉が飛散する前(7月末頃まで)の作業が適している
- 大きく生長する前(春頃)の作業が比較的ラクですが、他の植物との見分けが難しい場合は、6~7月頃が目立って作業しやすい
- 除去方法:抜き取るのが効果的
在来種や在来生態系への影響 | 春の早い時期に芽生えて急生長するため、ほかの植物を被陰してしまうことがある。湿地や河原等に生育する在来植物と競合し、駆逐する。 |
人間活動への影響 | 風媒花で、⼤量の花粉を飛ばすため花粉症の原因植物となっている。 |
オオブタクサは花粉症の原因植物なので、除草する場合は、参加者の方々の健康を考慮し、花が咲いて花粉が飛散する前(7月末頃まで)に行うことが適しています。
1~3mと大きくなるため、春の小さい時期のほうが作業がらくですが、ほかの植物と見分けるのが難しい場合は、大きく成長した時期(6~7月頃)が目立って分かりやすいでしょう。
刈り取る時期によっては、その後に花をつける可能性もあるため、抜き取るのがよいでしょう。一年草で地下茎のつながりもないので、抜き取りは比較的容易にできます。
特徴
- 北アメリカ原産
- 河原や市街の空き地などでよくみられる
- ブタクサ花粉症の原因植物であり、開花期の除草作業は避けるなどの注意が必要
.jpg)
夏(7~9月ごろ)に花を咲かせる。雄花と雌花があり、風で花粉が媒介される。
.jpg)
草高は高く、1~3mに生長し、大きいものでは4mを超えるようになる
.jpg)
葉は手のひら状に3~7つに大きく裂ける
.jpg)
開花期になると、茎の頂部に雄花が集まった5~20cmの穂をつける
.jpg)
雌花は雄花の根元に集まってつく
.jpg)
その他の外来植物例

イタチハギ
別名:クロバナエンジュ
学名:Amorpha fruticosa マメ科 落葉低⽊
- 除去適期:4~9月
- 除去方法:伐採・萌芽の抜き取り
在来種や在来生態系への影響 | 萌芽力があり生長が速く叢生するため、他の植物の生育を阻害する。 土壌に窒素分を供給して肥沃化させ、土質を変化させる。 |
治水・利水への影響 | 洪水時の流水阻害、流木となり河川構造物に堆積する |
人間活動への影響 | 病原菌を媒介し、農作物に被害を及ぼす |

シナダレスズメガヤ
別名:ウィーピングラブグラス
学名:Eragrostis curvula イネ科 多年生草本
- 除去適期:4~10月
- 除去方法:⼩さいうちに抜き取る
在来種や在来生態系への影響 | 植⽣の上を覆うように繁茂するため、他の植物の生育を阻害する。 礫河原では、砂の堆積を促進することにより、河床材料を変化させ、河原固有の生物の生育・生息環境を悪化させる。 |
治水・利水への影響 | 土砂を堆積させるため、洪水の流下を阻害する。 |

オオオナモミ
〔キク科、一年生草本〕

ブタクサ
〔キク科、一年生草本〕

シロツメクサ
〔マメ科、多年生草本〕

ヘラオオバコ
〔オオバコ科、多年生草本〕
特定外来生物(植物)
アレチウリ
〔学名:Sicyos angulatus ウリ科 一年生草本〕
.jpg)
- 除去適期:特例で結実前(春~秋(4~9月ごろまで)の期間内)限定で除草可能
- 除去方法:芽生えの時期に抜き取るのが効果的
- 除去後の対応:タネ等が拡散して分布が広がるのを防ぐため、活動場所から決して持ち出さず、他の植物と同様に現地に積み置く
在来種や在来生態系への影響 | 植生の上を覆うように繁茂するため、他の植物の生育を阻害する |
人間活動への影響 | 耕作地等に侵入した場合、農産業に被害が生じる。 実の表面にトゲがあるため、けがをする。 |
特徴
- 北アメリカ原産
- 栄養が豊富で日当たりのよい場所を好む
.jpg)
葉は手のひら状で、表面に細かいトゲがある
.png)
10mを超えることもある茎は、つる状に長く伸び、地表やほかの植物に覆いかぶさるように成長する
.png)
果実には鋭いトゲがあるので、注意が必要
.png)
同じ株に雌花と雄花ができる
.jpg)
.png)
オオカワヂシャ
〔別名:オオカワジサ 学名:Veronica anagallis-aquatica オオバコ科 越年生草本または多年生草本〕
.jpg)
- オオカワヂシャは、以下の理由から自然地での除去対象外としています
- 保全上重要な植物のカワヂシャとよく似ており、見分けが難しい
- 地下茎から増える
- 除草後の植物体から分布が拡散する恐れがある
- もし見つけた場合は、事務局までお知らせください
在来種や在来生態系への影響 | 他の植物の生育を阻害する。 在来種のカワヂシャ(環境省レッドリスト準絶滅危惧種)と同じ環境に生育し、交雑して、ホナガカワヂシャと呼ばれる雑種を形成する。 |
特徴
- ヨーロッパ~アジア北部原産
- 湖沼や河川の岸、水田などの湿地や水深の浅い場所を好み、流水中でも生育する
- タネで増えるほか、地下茎を伸ばして分布を広げる
- 在来の希少種カワヂシャと交雑する。
.jpg)
.jpg)
.jpg)
在来種のカワヂシャとよく似るが、オオカワヂシャのほうが葉の縁のギザギザがゆるやかで、花の色が濃い
.jpg)
淡い紫色の花を咲かせる。秋ごろにもう一度咲くタイプもある。


ナガエツルノゲイトウ
〔学名:Alternanthera philoxeroides ヒユ科 多年生草本〕
.jpg)
- 南アメリカ原産
- 水辺の湿った環境に生える多年草
- 日当たりの良い肥沃な条件下では急激に増殖する
- 開花期は春から秋(4~10月ごろ)だが、一年中開花することもある
- 長期間乾燥に耐えられ、陸上植物としても生育できる
- 淡水に生育するが耐塩性が高い
在来種や在来生態系への影響 | 水面を一面に覆うと酸素欠乏を生じさせ、水生生物の生育・生息環境を悪化させる。在来生物と競合する。 |
治水・利水への影響 | 植物体が水門等の施設に堆積し、ゲートの開閉等を妨げる。 枯死して腐敗すると、水質の悪化を引き起こす。 |
人間活動への影響 | 船舶やカヌーの航行阻害を引き起こす。 |
.jpg)
葉は倒卵形~倒広被針形の細かい鋸歯を持つ
.jpg)
匍匐した茎が数多く分岐し、茎切片による栄養繁殖が旺盛
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
12~16㎜の白い球状の花が咲く
オオキンケイギク
〔学名:Coreopsis lanceolata キク科 多年生草本〕
.jpg)
- 北アメリカ原産
- 陸生の多年草で路傍、河川敷、線路際、海岸など、日当たりの良い所に生育する。
- 開花期は春から夏(5~7月ごろ)
- ホソバオオキンケイギク、オラゲオオキンケイギクを区別することもある
在来種や在来生態系への影響 | 他の植物に届く光を遮ってその生育を阻害する等、競争により他の植物種を排除し、置き換わる |
.jpg)
葉はへら状で、粗い毛がある
.jpg)
茎は高さ30~70cm
.jpg)
.jpg)
.jpg)
花は黄色一色であり、舌状花は8~10枚で先端がギザギザしている
.jpg)
繁殖力が旺盛でおおきな群落を形成する
ミズヒマワリ
〔学名:Gymnocoronis spilanthoides キク科 多年生草本〕
.jpg)
- 中央・南アメリカ原産
- 種子で増える
- 生育が早く、短期間で大きなコロニーを形成する
- アレロパシー活性があり、他の植物を排除する場合がある
在来種や在来生態系への影響 | 水面を覆うように成長・繁茂すると、在来植物の生育を抑制する。 訪花昆虫を誘因するため、虫媒植物への影響も懸念されている |
治水・利水への影響 | 河川や水路等で繁茂すると、流された植物体が水門等の施設に堆積し、水の流れや施設の操作を妨げるとともに、洪水時の流水阻害を 引き起こす。 |
.png)
開花期:夏から秋(9~10月ごろ)だが、6~10月まで開花との報告もある
.jpg)
葉がヒマワリの葉に似ており、先に行くほど細長くなり、縁が低い鋸歯がある
.jpg)
抽水性の多年草で、高さが0.5~1m以上になる
.jpg)
ちぎれた茎から繁殖が旺盛
オオフサモ
〔別名:パロットフェザー、ヌマフサモ 学名:Myriophyllum aquaticum アリノトウグサ科 多年生草本〕
.jpg)
- 南アメリカ原産
- 耐寒性があり、おもに根茎で越冬する
- 繁殖力が高く、地下茎で栄養繁殖する。
- 開花期は夏(6月ごろ)
- 抽水性の多年草
- 日本では雌株しか存在せず、種子生産は確認されていない。
在来種や在来生態系への影響 | 水面を一面に覆うと酸素欠乏を生じさせ、水生生物の生育・生息環境を悪化させる。在来生物と競合する。 |
治水・利水への影響 | 植物体が水門等の施設に堆積し、ゲートの開閉等を妨げる。 枯死して腐敗すると、水質の悪化を引き起こす。 |
人間活動への影響 | 船舶やカヌーの航行阻害を引き起こす。 |
.jpg)
開花期:夏から秋(9~10月ごろ)だが、6~10月まで開花との報告もある
.jpg)
茎は泥中または水中で分岐しながら1mに達し、水面から高さ20~30cm茎を直立させ水面を覆う
.jpg)
湖沼、河川、池、水路、一部の休耕田など、水が浅い所に生える
.jpg)
【参考文献】
- 財団法人リバーフロント研究センター「改訂版河川における外来種対策の考え方とその事例」(2008年発行)
- 環境省「日本の外来種対策 外来生物法」(https://www.env.go.jp/nature/intro/index.html)
- 国土交通省「地域と連携した外来植物防除対策ハンドブック(案)令和7年度増補版」(2025年4月)
【写真提供】
- (株)建設環境研究所